【第424話】
バラモスゾンビ戦
父さんの遺品賢者の石は遥か昔、魔族と竜族が共同で開発したものだった。ゾーマはバラモスブロスの遺体に雷を落とす。遺体は激しく燃え、その姿を失った。残った骨に白い粉末が積み重なっていく。
バラモスブロスの骨と白い粉末の山は、生き物のように動き盛り上がる。そして、徐々に姿がはっきりとした形になってきた。その姿はスカルゴンのような竜を象っていた。しかし大きさはスカルゴンの三倍はあり、骨の色は白ではなく赤黒い血の色をしている。
”さぁ、我が最強の配下バラモスゾンビを倒してみよ”
そう言うとゾーマの声は消えた。
目の前のスカルゴンもどきからは殺気が感じられない。骨だけの存在だからだろう。
私の予想通りであれば、これはバラモスとバラモスブロスの怨念が合わさった魔物だと思う。
ゾーマは死んだものを再度蘇られせ、自分の配下にする術を持っている。メルキド大戦のときに、死んだものを蘇らせ戦わせたという話を聞いた。であればバラモスとバラモスブロスのゾンビ版と考えてよいだろう。
魔王二人分の強さを掛け合わせた魔物。
ゾーマが「最強の配下」というのだから、今まで戦った敵の中で最強に違いない。私はゴクリと唾を飲み込んだ。だがここで引くわけにはいかない。
過去の経験からこの魔物と渡り合う術を探す。スカルゴンタイプの敵は魔法を使うことがなかった。ゾンビ系の敵は魔法を使えるものが少ない。アンデット化することによって、意思を持つことができないことから魔法を使う能力がなくなるのだろう。
ただソードイドのような回復魔法を使える例外はいた。ある程度魔法による攻撃は警戒しなければいけない。
主体は炎か吹雪、それと打撃系の攻撃で来ると思われる。私は勇者の盾を身構えながら、両足を少し広めに開いた。すぐに左右に動け、敵の攻撃を交わせる体制を作る。
刹那、バラモスゾンビが電光石火の速さで目の前に迫ってきた。
「速い!」
一瞬にしてバラモスゾンビと私との間がなくなっていた。巨大な翼が振るわれる。私はギリギリでその攻撃を右にかわした。
だが私は次の瞬間吹き飛ばされていた。攻撃をかわした瞬間、バラモスゾンビの尻尾がなぎ払われたのだ。私の体は壁に激突した。鎧が壁にめり込み、壁の一部粉砕される。それがバラモスゾンビの強さを表していた。兜の中に血を吐く。
「かはっ…あっぅ…」
声にならない痛みが私を襲った。どうやら肋骨が数本折れているようだ。ブルーメタルの鎧で守られているのに、尻尾でなぎ払われただけで…なんて力だ。
第425話 バラモスゾンビ戦2
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