【第431話】 勇者の挑戦2
瞬間移動をし吹雪をはくゾーマ。その攻撃は強力で、勇者の盾を使っても凌ぎきれなかった。私は凍える吹雪の直撃を受け、床に崩れ落ちる。
光の鎧と命の指輪は、私に耐えず光を送りだしていた。しかしダメージが大きく魔法を唱えるまでには時間がかかりすぎた。
”余の配下を倒したのだから、もう少し手応えがあると思ったが”
時間が欲しい。魔法を唱えるだけの時間が。
”期待はずれだ。苦しませず引導を渡してやろう”
ゾーマはトドメをさすべく、再度吹雪をはいた。
お願い、私の体動いて!!!すると私の願いに賢者の石が反応した。賢者の石は輝き、私を暖かく包む。指に力が入るのを感じた瞬間、勇者の盾をかまえながら、私は横にとんだ。ゾーマの吹雪が襲う。
余波を受けるが、致命傷ではない。私はベホマを唱え、完全回復した。
”竜の遺産か”
またお父さんに助けられ、命拾いした。ありがとう、父さん。
だが現状がかわるわけではない。炎のブーメランによる奇策が通じなかった。物理攻撃をすり抜けるということは王者の剣を当てても同じことになるだろう。ゾーマの体は魔法でしか傷つけられないのか、それとも本体が別のところにあるのか?
一撃でも魔法を浴びせることができればわかるのだが。私の攻撃魔法は王者の剣によるバギクロス、稲妻の剣によるイオラ、イオナズン、詠唱によって唱えられるメラ、ギラ、ベギラマ、イオラ、ライデイン、ギガデインの九種類のみだ。地下深くで、城壁により空が遮られているためライデインやギガデインが使えない今、バギクロス、イオラ、イオナズンの三種類しか主力になるものがない。ライデインが使えないのが悔しい。命中率も抜群の上、魔力を溜める時間がごくわずかにすむのでこれなら大魔王に当てられるのに。
いや、待てよ。そういえば、先ほどバラモスゾンビと戦う前にゾーマはバラモスブロスの遺体を焼き尽くすため雷を落とした。ということはゾーマが何らかのことで空間を捻じ曲げ空から雷を落としたということになる。
”おとなしく余の餌となるがよい”
ゾーマの声が聞こえ、再度吹雪による攻撃をしかけようとしてきた。私はその前に王者の剣の魔力を解放しバギクロスを放つ。ゾーマは吹雪をやめ、瞬間移動をした。バギクロスをかわすということはゾーマに魔法が通じるということだ。
魔法が効かないのであれば、よける必要がないはず。またこの空間でゾーマが雷を落とせるなら私も使えるはずだ。
ゾーマが現れる前に私はライデインを唱え始めた。そしてゾーマが背後に現れた瞬間
「ライデイン!!!」
闇の中に一筋の光の竜が現れ稲妻がゾーマの顔を打つ。呪文が発動した!
しかしゾーマは悲鳴一つ上げない。
”そのような魔法は効かぬ”
「な・・・・・」
第432話 勇者の挑戦3
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