【第57話】

祠の牢獄


悲しみの岬を越えた私は、さらに船を先に進ませる。

サマンオサのボストロールを締め上げたときに、

勇者サイモンを、この辺りの牢獄に幽閉したと白状した。

まだ、生きていることを願いたい・・・・・・・・・


その牢獄はすぐに見つかった。

明らかに隔離された島に、祠があったのだ。


「ここか・・・・・・・・・・」


足を踏み入れる。

中は真っ暗で、辺りは悪臭が立ちこめて、

湿度が高く、じめじめしている。

こけがいっぱい生えていて、滑りそうだ。

そーっと、壁づたいに手を突いて歩こうとすると、


ムニュっ!


「えっ!」


・・・・・・ネズミがいっぱいいた・・・・・・・


「・・・・・・あ、あ、あ・・・・・・

 い、いやぁぁぁぁぁ!!!!!」


何処をどう走ったのかわからない。

とにかく、びっくりした。

魔物と闘う時っていうのは、心の準備ができているから、

いいんだけれど・・・・・・・

さっきみたいに・・・・・・・いきなりねぇ・・・・・・

あぁ、嫌だ!

さっきの感触が残っているよぉ・・・・・・

・・・・・・でも・・・・・・静かね・・・・・・・


ここで、大きな声で


「サイモンさん、いますか!」


って、聞きたいけれど、バラモスの手下がいるかもしれない。

事を慎重に運ばなければ。

でも、壁には触らないようにしよっと。


真っ暗で何も見えないので、手のひらに気を集中させ、

メラを唱える。

ぼぉーと、炎の球が浮かび上がる。

ちょっと、このままの状態を維持するには疲れるけれど、

たいまつもっていないし。

しばらく歩くとあちこちに鉄格子が見えた。

中を見ると・・・・・・


第58話 勇者サイモン

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