【第58話】

勇者サイモン


・・・・・・・・・見たくなかった・・・・・・・・

テドンで見た以来だった。

人骨。

・・・・・・・・ひどい・・・・・・・・・


足をおもりの付いた鎖で縛られ、逃げられないようになっている。

壁には、爪でかきむしった後がある。

血だろうか?


暗くてわからなかったが、生々しかった。

きっと、食料や水も与えられず、ただ何日もここに閉じこめられ、

飢えで苦しんで死んだのだろう。

この人がサイモンさんかしら・・・・・・

冷静に考えて、いくら超人と言われる勇者サイモンでも、

この中で生きているとはとうてい思えなかった。


何個か他にも牢屋あったが、どれも変わり果てた姿だった。


見たくない!

こんな光景!!!!

・・・・・でも・・・・・わたしも死ねば、こういう姿になるのよね・・・・・・


人間はいずれ死ぬ。

でも・・・・・・でも・・・・・・うっ・・・・・・・・

こんな惨い、殺され方ってないよ・・・・・・・・・

うっ・・・・・・うっ・・・・・うっ・・・・・・


牢屋内をすべて調べたが、彼がどれだかは判別できなかった。

せめて、遺品だけでも、サマンオサで待っている奥さんに

持って帰ろうと思ったんだけれど・・・・・・

どれが、サイモンさんの屍かわからない。


”・・・・・テガ・・・・・殿・・・・・・・”

えっ!

今、なんか声が・・・・・・


”オル・・・・・テガ・・・・・殿・・・・・・・”


オルテガ?

お父さん?

お父さんのこと!?


第59話 果たされぬ約束

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