7.再びサントハイム

   (国王)「そろそろ決着がついてるころかな……?」
(ブライ)「そうですなぁ……」
 そのあと、二人はしばし無言となった。
 沈黙を破ったのは、国王の方だった。
(国王)「だいぶ昔の話だ。王妃が亡くなって一ヵ月後の夜だった。私は夢を見ていた」
(ブライ)「どんな夢ですかな?」
 国王には、予知夢を見る能力がある。夢の内容には興味があった。
(国王)「我が娘の結婚式の夢だった。娘は、王妃そっくりの美しい姫に育っていた。そして、婿は、蒼髪の聡明そうな青年だった……」
(ブライ)「まさか……?」
(国王)「ブライが、娘の遊び相手の候補としてクリフトをつれてきたときには、心底驚いたものだ。そして、私はしばし躊躇した」
 それはそうだろう。
 まだ幼い娘の運命が、その瞬間に決定されることになるのだから。父親としては、躊躇せざるをえなかっただろう。
(ブライ)「最初から、分かっておられたのですな? 陛下も人が悪い」
(国王)「まあな。だが、予定された運命だとしても、自分で選び取らねば意味があるまい。さぁ、今日はアリーナが意気揚々と帰ってくるだろう。笑顔で迎えねばな。その後は、貴族たちの説得だ。段取りは心得ておるな?」
(ブライ)「御意。まずは、クリフトに貴族の地位を与えることの了承を取り付ける。ただし、結婚のことはふせる。なんといって八大英雄の一人ですし、救国の英雄ですからな。誰も反対はできますまい。貴族の地位さえ与えてしまえば、姫様との結婚については障害はほとんどありえませぬ。
 しかし、陛下も人が悪いですな。天下の悪王の名をいただくかもしれませんぞ」
(国王)「娘の幸せのためなら、悪王とののしられようと気にもせぬ」
(ブライ)「その覚悟がおありなら、わしはもう何も申しませぬ」

 その日。
 アリーナとクリフトが帰ってきた。
 アリーナは、父親に会うなり開口一番。クリフトとの婚約を宣言した。
 そして、クリフトに下した理不尽な命令についての抗議を延々と述べ立てる。
 国王は、それを笑顔で聞き流した。
 そして、今後の段取りについて説明し、くれぐれも暴走しないようにと釘を刺した。

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