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◆Story of Libral (Kathieさん投稿) |
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序章 |
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1章-旅立ち- |
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Story of Libral 序章 3-城下町へ
...
翌日早朝...
アリエス「ん...うう~ん...んん...」
なぜかいつもより早く目が覚める。
アリエス「そうか、今日は姉上と城下町へ行くんだっけ...」
アリエスは今日の用事を思い出し、手早く着替えると、部屋を出る。
番兵「これは、アリエス王子。おはようございます。」
アリエス「おはよう、早くからご苦労様。」
番兵「ありがとうございます。それにしても、今日はお早いのですね。」
アリエス「ん?ああ、今日はちょっと姉上との用事があるのでな。」
番兵「そうなのですか。」
そう話をしていると、回廊の向こうからシリウスの姿が近づいてきた。
シリウス「おはよう、アリエス。」
アリエス「姉上、おはようございます。」
番兵「王女様、おはようございます。」
シリウス「もう準備は出来てるの?」
アリエス「もちろんで。」
シリウス「そう、それじゃ、もう行く?」
アリエス「私は別に、いつでもいいです。」
シリウス「じゃあ、行きましょう。」
番兵「どこかへお出かけで。」
シリウス「ちょっと城下町へ。アリエスにも、街を教えないとと思って。」
番兵「そうですか、お気をつけて。」
シリウス「あ、お父様には許可とってあるから、心配しないで。」
番兵「わかりました。」
...
門番「王様から聞いております、どうぞお通りください。」
シリウス「ありがとう。」
城門が開かれ、目には活気にあふれた町並みが飛び込んでくる。
アリエス「これが城下町...すごい...こんなに賑やかなんて...」
アリエスは、はじめて見る光景に、ただただ、驚嘆の声を上げていた。
シリウス「こうやってみんなが協力して頑張って、このおかげで私達の国は成り立っているのよ。」
アリエス「そうだったのか...」
シリウス「でも、中には悪い人だってたくさんいるわ。」
アリエス「例えば...?」
シリウス「そうねえ...」
そういった矢先...
「あっ!泥棒!泥棒よ!!」
「そっちに逃げたぞ!追え!!」
向こうのほうから叫び声が聞こえた。
アリエス「姉上、今のは...」
シリウス「ちょうどいいわ、行きましょ!アリエス。」
アリエス「あっ!姉上!!」
走っていくシリウスを、慌てて追いかけるアリエス。
「誰か!誰か捕まえて!!」
盗人「へへっ、誰が捕まるかよ。」
シリウス「待ちなさい!そこまでよ。」
盗人「何?」
その盗人は、立ち止まるとものすごい形相でこちらを睨んで来た。
シリウス「白昼堂々と、よくもまあそんなことが出来るわね。」
盗人「何だと?小娘がいきがってるんじゃねえ!!」
シリウス「あら?私のこと知らないのかしら。」
「あ...あれって...もしかしてシリウス王女様じゃ...」
「えっ!?嘘だろ。何で王女様がこんなところにいるんだ?」
「いや...でもあの方は間違いないはずだ...」
盗人弟「あれ...?げっ!...あ、兄貴...やめましょうよ...」
盗人兄「何言ってやがる!お前はこんな小娘にナメられて恥ずかしくねえのか!」
弟「で、でも...あれ...シリウス王女ですぜ...」
兄「何ぃ?」
シリウス「どうしたのかしら?」
兄「けっ、何が王女様だ。王族だからってだけで威張ってんじゃねえぞ!」
シリウス「あらあら...威勢だけはいいこと。」
わざとらしく盗人を挑発するような言葉を放つシリウス。
シュッ!
何かが抜けるような音がする。
弟「あ、兄貴!?」
兄「うるせえ!俺は切れたらとまらねえんだよ!」
いきなり腰に差していた剣を抜く盗人。
そのまま一直線にシリウスに突進していく。
兄「おりゃああ!」
シリウス「この...いい加減にしなさい!」
突進を軽くかわし、そのまま地面に叩き伏せる。
兄「ぐああっ!」
その反動で盗人の手から抜けた剣を手に取り、盗人の眼前に突き出す。
兄「ひっ...」
シリウス「全く...痛い目に遭わないと分からないの?」
兄「うあ...あああ...」
男は、一転して恐怖に怯えた犬のようになってしまった。
そして、騒ぎを聞きつけた警備兵がまもなくやってくる。
警備兵「あっ、シリウス王女様!ご無事ですか!」
シリウス「ええ、私は何ともないわ。」
警備兵「申し訳ありません、私共が目を離していたところで...」
警備兵は、シリウスに向かって謝罪する。
シリウス「いいのよ、軽い運動になったから。」
警備兵「しかし...本当に申し訳ありません、もし王女様の身に何か遭ってしまわれたら...
これからはさらに警備を徹底するよう、私共も気を引き締めます。」
シリウス「わかったわ、これからも警備を怠らないようにして、街の治安を守ってね。」
警備兵「ありがたきお言葉。さて、この男を連行しろ!」
「はっ!」
別の警備兵達が先程の泥棒を連行して行った。
アリエス「......」
アリエスはただ呆然としていた。
シリウス「アリエス?アリエスってば。」
アリエス「あ...あ、ああ、姉上...」
シリウス「驚いたの?」
アリエス「はい...何もかも始めて見る事ばかりでしたので...」
シリウス「そう。やっぱりアリエスはもっと外に出てみるべきね。ちょっと世間知らず過ぎるわ。」
アリエス「そうですね...」
そして、それから日が暮れるまで、シリウスは、アリエスに色々なことを教えていた。
シリウス「ふう、そろそろ日が沈むわね。アリエス、そろそろ戻りましょ。」
アリエス「はい、姉上。」
二人で城へ戻る。
アリエス「姉上、今日はありがとうございました。」
シリウス「いいのよ、私も楽しめたから。また今度街を回りましょうね。」
アリエス「ええ、よろこんで。」
そう言うと、シリウスは兵士に呼ばれ、立ち去っていった。
リゲイル「王子、今日はどちらへ行かれていたのですか?」
後ろからリゲイルに声を掛けられる。
アリエス「ああ、姉上とともに街を回っていた。」
リゲイル「街を?」
アリエス「私には外の世界の経験が少ないということで、姉上が街について色々と教えてくれた。」
リゲイル「そうでしたか、何も聞いていませんでしたので...」
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