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◆Story of Libral (Kathieさん投稿) |
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序章 |
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1章-旅立ち- |
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Story of Libral 1章-旅立ち- 1-2新たな旅立ち
アリエスとオリオンがアズレイムに来て2週間ほどが経った。
アリエス「はっ!」
カキン!バシッ!
「うわっ!」
カインツ「そこまで!」
アリエスはアズレイムの兵士達と訓練をしていた。
そして、兵士の一人を叩き伏せた。
アリエス「ふぅ...」
オリオン「お見事ですな。まだ少し無駄があるとはいえ、大分上達しましたな。」
アリエス「そうか?」
カインツ「見事ですアリエス王子。我が国の兵士達を軽く伏せてしまうとは、
これからが楽しみですな。まだ王子はお若いのですから。」
アリエス「いや、まだまだですよ。」
オリオン「いいえ、カインツ王の言うとおり、アリエス様はまだお若い。
私のような老いぼれとは違い、まだまだ上達するでしょう。」
カインツ「では、せっかくですので私が相手をしましょう。」
アリエス「えっ?カインツ王が?」
カインツ「たまにはこうやって兵士の相手をすることもあります。
体を動かさねば鈍ってしまいますからな。」
カインツは笑いながら訓練用の剣を取る。
オリオン「カインツ王は現役の頃は素早い攻撃を得意としていました。
アリエス様、気をつけてください。」
カインツ「よしてくれよオリオン。流石に私も年だよ。
昔のような動きは出来ないんだから。」
カインツは軽く体をほぐし、アリエスと対峙をする。
カインツ「よろしいですか?アリエス王子。」
アリエス「は、はい。私は大丈夫です。」
カインツ「それでは、オリオン。合図を頼む。」
オリオン「わかりました。」
オリオンは一呼吸おく。
オリオン「では、はじめ!!」
カインツ「ふぅん!」
アリエス「!!」
ガキイッ!
開始と同時にカインツが突進してくる。
アリエス「速い...」
カインツ「アリエス王子も遠慮なさらず!」
アリエス「はい!」
一旦アリエスは間合いをおく。
アリエス「たあっ!」
カインツ「.....」
ヒュウッ...
アリエスの剣は空を切る。
アリエス「あれ...っ!」
バシッ!
空振りに気を取られていたアリエスにカインツの返しが来る。
アリエス「うわあっ!」
腕に一撃を喰らう。
カインツ「まだまだですぞアリエス王子!」
アリエス「くっ!」
アリエスは押され気味に戦っていた。
...
アリエス「ハア...ハア...」
カインツ「......」
息を切らしているアリエスとは対照的に、カインツは全く息を乱していなかった。
このルールでは、降参するか、地面に倒れるまでは負けにはならない。
アリエスはギリギリのところで敗北を逃れていた。
アリエス(これ以上喰らったら確実に倒れる...まずいな...)
カインツ「さあ、アリエス王子。後がありませんぞ。どうされますか?」
アリエス(ここで降参するわけには...)
アリエス「......」
アリエスは無言だった。
カインツ「降参は...されないようですね...」
カインツはゆっくりと構える。
アリエス(動きを見るんだ...動きを...)
カインツ「行きますぞ!!」
アリエス「......」
ダッ!
カインツが飛び掛っていく。
カインツ(とらえた...)
アリエス「そこだっ!!」
カインツ「!!?」
バシイッ!
反撃のことを考えていなかったカインツは、アリエスの思わぬ反撃をもろに喰らってしまった。
ドサッ!
カインツ「うっ...!」
オリオン「!!」
ザワッ!
辺りが一斉にどよめく。
アリエス「...あ...あれ...?」
カインツは、バランスを崩して倒れてしまった。
アリエスが逆転勝利をしてしまったのだ。
オリオン「おお...」
カインツ「は...ははは...負けてしまったな...」
オリオンもカインツもあっけに取られていた。
アリエス「私が...勝ったのか?」
勝ったアリエス自身も、何が何だか分からなくなっていた。
先に口を開いたのはカインツだった。
カインツ「お見事でしたぞアリエス王子。」
アリエス「い、いいえ...単なる偶然です...振ったら当たったって感じで...」
カインツ「いいえ、今のは完全に見切られました。これから先が楽しみですぞ。」
アリエス「はは...はははは...」
......
ある日、アリエスとオリオンはカインツに呼び出された。
カインツ「アリエス王子...これからどうするおつもりですか?」
アリエス「私は...奪われたリブラルを取り戻したい...」
カインツ「そう仰ると思いました...しかし...」
アリエス「わかっています、オリオンとも相談しました。」
カインツ「戦力が...違いすぎると...?」
アリエスは頷いた。
オリオン「あの時...町を襲っていた魔物どもの数は想像を絶していました...
今はあの時ほどの魔物はいないにしろ、リブラルを陥落させた敵どもに太刀打ちは...」
カインツ「そうだろうな...そこでだ。」
アリエスは顔を上げる。
カインツ「旅をしてみてはいかがですかな?」
アリエス「旅...ですか?」
カインツ「今、世界のあちらこちらで、リブラルと同じように、
魔物に襲われ、滅びている国があると聞きます。
もしかすると、アリエス王子と同じ境遇の人がいるのかもしれません。
そのような人達と結束し、魔物に立ち向かう戦力を築き上げるというのはいかがでしょうか?」
オリオン「ふむ...それはいい考えですな。世界を旅するというのも、
アリエス様には必要なのかもしれません。以前、レグルス王が旅をしたように...」
アリエス「そういえば、父上が旅をしていた頃の話も聞いたことがあった...」
カインツ「ここより南、ティコ山脈を越えたところに、
昔からこの地方と関わりのあったプロシマ王国という小国があります。
まずはそこへ立ち寄って、情報を集めるのもよいでしょう。
我が国では入ってくる情報もまばらですからな。」
オリオン「プロシマ王国...このアルビーレ地方とサジタリス地方をつなぐ玄関口...」
アリエス「オリオンは知っているのか?」
オリオン「昔はいろいろとありましたから...」
カインツ「あの頃は大変だったな、オリオンよ。」
オリオン「そうですな。プロシマ王国へここから遠征したりと...
後は向こうの特産物を大量に買出しに行かされたりと...」
カインツ「位が低かった頃は、いろいろとやらされていたからな...」
アリエス「そんなことがあったのですか。」
カインツ「今となってはいい思い出だよ。それで、アリエス王子...どうされますか?」
アリエス「私は...旅に出るつもりです。父の後を継ぎ、リブラルを取り戻すために...」
カインツ「わかりました...こちらで旅の支度を整えておきます。
アリエス王子は支度が終わるまでゆっくりしていって下さい。」
アリエス「ありがとうございます。」
その時、陰からシエラが姿を現す。
シエラ「お父様...私も行っては駄目でしょうか...」
カインツ「何だと!?」
シエラのいきなりの言葉に、カインツは驚きの声を上げる。
シエラ「私も、今年で17歳になります。そろそろ外の世界を見てみたいのです...」
カインツ「しかしな、お前...」
シエラ「大丈夫です。魔法も少しは扱えるようになりました。アリエス様達のお力には...」
アリエス「シエラ...大丈夫なのか?私は構わないが...」
シエラ「本当ですか!?」
オリオン「確かに...魔術師が一人いるだけで大分違いますからな...」
カインツ「う~む...」
カインツは少しの間考え込む。
カインツ「...分かったシエラ。確かに、そろそろお前も外の世界を見てくるにはいい歳になった。
アリエス王子と共に外の世界を見てきなさい。」
シエラ「あ、ありがとうございます!!」
カインツ「但し!...アリエス王子の足手まといになった時は速やかにここへ戻ること。いいな!」
シエラ「は、はい!!」
カインツ「それではアリエス王子...そしてオリオン...シエラのことをよろしくお願いします...」
アリエス「任せてください!」
そして、アリエスはオリオンと、カインツの娘、魔道士のシエラを連れ、
ここより南のティコ山脈に向けて出発した...
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