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◆Story of Libral (Kathieさん投稿) |
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序章 |
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1章-旅立ち- |
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Story of Libral 序章 7-故郷の落日
ドオオォーーン!!
レグルス「何事だ!?」
「うわあああああ!!」
「ば、バケモノだ!」
番兵の叫び声が聞こえる。
番兵「た、大変です!!裏の森に巨大な怪物が現れました!!」
レグルス「怪物だと!?」
ミーラ「まさか...魔の森に眠りし魔獣...」
レグルス「魔の森...ただの伝説ではなかったのか...」
リブラル城の裏の森は、リブラが魔獣を封印したという伝説から、魔の森と呼ばれていた。
その魔獣が、ヴェガの力によって復活してしまったのだった。
レグルス「とにかく、どうにかして食い止めるのだ!」
番兵「はっ!」
レグルス「リゲイル!フォルハウトを用意しろ!」
リゲイル「フォルハウト!?まさか王自ら出撃するおつもりですか!」
レグルス「当たり前だ!ここで黙ってみているわけには行かぬ!大至急用意するのだ!」
リゲイル「しかし...」
レグルス「リゲイル!」
リゲイル「は、はっ!」
リゲイルは大急ぎで宝物庫へ向かった。
ミーラ「あなた...」
レグルス「恐らく、伝説の魔獣には衛兵部隊も歯が立たないだろう。フォルハウトなら戦況が変わるはずだ。」
ミーラ「無茶はしないで...」
レグルス「わかっている...」
間もなく、リゲイルが聖剣フォルハウトを持ってきた。
そして、準備を済ませたレグルスは大急ぎで王の間から飛び出して行った。
アリエス「父上!?一体何事ですか!」
レグルス「アリエス!お前は来てはならぬ!シリウスとともに避難所へ逃げろ!」
シリウス「お父様!?」
...
城を出ると、衛兵達が戦っていたが、魔獣の力には勝てず、戦力が衰えていた。
レグルス「くっ...大丈夫か!」
隊長「レグルス様...申し訳ありません...あれは強すぎです...」
倒れていた隊長を見つけたが、かなりひどい傷を負っていた。
レグルス「これ以上やらせるか!!」
レグルスは剣を抜くと魔獣に突撃する。
レグルス「はあああぁぁっ!」
「ガァォオオオ!!」
魔獣の腕がレグルスに襲い掛かる。
レグルス「フンッ!」
ズバッ!
それを難なくかわし、肩口に一撃を浴びせる。
「グオオォォ!!」
レグルス「うおぉっ!?」
その瞬間、魔獣の尾がレグルスに向かっていた。
バシッ!
尾が直撃し、レグルスは吹っ飛ばされる。
レグルス「くっ!」
とっさに身を翻し、受身を取る。
レグルス「うおおおおぉぉ!!」
......
オリオン「リゲイル様!大変です!町に魔物が現れました!」
リゲイル「何だと!」
オリオン「しかも、ヴァイランスの国章をつけた兵士までが暴れております!」
リゲイル「くそっ...とうとう来てしまったか...!」
レグルスが魔獣と戦っている最中に、ヴァイランスからの大軍が攻めてきた。
オリオン「既に町では多くの町人達が犠牲となっているようです...」
リゲイル「くっ...残っている兵力を町へ出撃させよ!」
オリオン「はっ!」
リゲイル「オリオン、そなたはここに残れ。」
オリオン「!?何故です!」
リゲイル「レグルス王が離れている今、王子達を守れるのはそなたしかおらぬ。
何としても王子達だけは守らなくては!」
オリオン「わかりました...この命に代えても守ります!」
リゲイル「王子は地下避難所に王女とともにいる。頼んだぞ...」
...
チャキッ!
アリエス「姉上!何を!?」
シリウスが避難所で支度を整える。
シリウス「決まっているわ、お父様を助けるのよ!」
アリエス「しかし...」
シリウス「ここで黙って見ていろっていうの!?もう嫌よ!こんな所で見過ごしてなんかいられないわ!」
アリエス「!姉上!!」
シリウスは部屋を飛び出していってしまった。
...
オリオン「王子!ご無事ですか!?」
アリエス「オリオン...私は大丈夫だ...だけど...」
オリオン「シリウス王女は...」
アリエス「父上のところへ飛び出していってしまった...大丈夫だろうか...」
オリオン「何と...」
.....
レグルス「ハァ...ハァ...ハァ...っ...」
レグルスの息は切れ、体力的にも限界が近づいていた。
レグルス「大分やつも弱ってきたな...そろそろ倒さねばわしが持たぬ...次の一撃で決めなければ...」
フォルハウトを今一度握り締める。
レグルス「はあああぁぁぁぁぁっ!!」
全霊をかけて飛び掛るレグルス
シリウス「お父様!!」
そこへシリウスが到着する。
しかし、レグルスにはそれは見えていなかった。
ズシャアァ!
「グアアァァ!!」
直撃を受け、魔獣が血飛沫を上げる。
レグルス「どうだ...っ!?」
レグルスの眼前に魔獣の大きな口が迫っていた。
ガフッ!
レグルス「ぐわあああ!」
シリウス「お父様っ!!!」
慌ててシリウスが駆け寄る。
シリウス「いやああああ!」
魔獣に向かってシリウスが剣を振り下ろす。
ズバッ!
「グゴゴゴ!ゴブッ...」
シリウスのとどめの一撃で魔獣は絶命した。
シリウス「お父様!お父様!!」
レグルス「うう...シリウスか...ぐっ!ゴホッ!」
シリウス「しっかり!しっかりしてください!」
レグルスは脇腹を食い破られ、もう息があるのが奇跡といった状態だった。
レグルス「まさか...こんな所で...こういうことになろうとはな...
シリウス...すまぬな...アリエスを...頼...む...」
シリウス「いやあ!死なないで!お父様!!」
レグルス「......」
レグルスはそのまま息を引き取った。
...
ミーラ「なんですって!?」
レグルスの死は、ミーラの耳にまで届いていた。
ミーラ「そんな...」
アリエス「父上が...」
避難所にいたアリエスとミーラはその場に力なくしゃがみこむ。
オリオン「王妃様...アリエス王子...」
オリオンの声も力がこもっていなかった。
アリエス「オリオン...姉上は...」
オリオン「わかりません...目撃者によりますと、王女様はレグルス王のフォルハウトを手に取り、
そのままどこかへ走り去っていってしまったそうです...」
アリエス「姉上...まさか一人で戦いに...」
その時
リゲイル「大変です!町を防衛していた衛兵隊が全滅しました!」
オリオン「何と!では...」
リゲイル「敵は既に...リブラル城を包囲している模様です...」
アリエス「リゲイル!姉上は!?」
リゲイル「それが...」
リゲイルもシリウスの消息は分からなかった。
ミーラ「...もう...リブラルは終わりね...」
アリエス「......」
その言葉に、その場にいる者は何もいえなかった...
ミーラ「仕方がありません...アリエス...こちらへ...」
アリエス「母上...?」
ミーラ「リブラの血を絶やすわけには行きません、これから私はある術を使い、
あなたをこの地からどこかへワープさせます。
アリエス「母上!まさか!」
リゲイル「王妃様!それを使えば王妃様の命が...」
この術は、瞬間移動をさせる術であるが、
魔力の消耗が著しく、病で身体が弱っているミーラの場合、命を落とす危険性がある。
ミーラ「けれど...これのほかに手立てはありません...」
既にミーラは術の詠唱に入っていた。
アリエス「母上!」
ミーラ「オリオン...あなたも...アリエスについていってあげて...
一人では...大変でしょうから...」
オリオン「王妃様!...わかりました、この命、アリエス王子に捧げます。」
リゲイル「オリオン!」
オリオン「リゲイル様...私が行きます...」
ミーラ「お願いしましたよ...」
その瞬間、アリエスとオリオンの姿が消える。
ミーラ「アリエス...頑張って......生きて...」
リゲイル「王妃様!しっかり!」
ミーラ「私は疲れたわ...もう...休ませて...」
そういうと、ミーラは静かに息を引き取った。
リゲイル「くっ...」
リゲイルは避難所から駆け出す。
兵「リゲイル様!いかがなさったのですか?」
リゲイル「ミーラ王妃が亡くなられた...」
兵「何と...」
リゲイル「兵力は後どのくらい残っておる?」
兵「は、はい。もう既に町の衛兵団は全滅。残っているのは城の防衛隊だけです。」
リゲイル「そうか...よし!最後の意地だ、残った兵力を集結させよ!最後まで戦い抜くのだ!」
兵「はっ!」
...その後、リブラルの騎士達と、ヴァイランス軍の戦いは、
リブラルの必死の粘りで、3日間もの間続いた。
しかし、流石に多勢に無勢、とうとうリブラルはヴァイランスに落とされてしまった...
クジェ「ヴェガ様、リブラルが落城した模様です。」
ヴェガ「そうか、ところで、あそこに伝わるフォルハウトは回収できたのか?」
クジェ「それが...」
ヴェガ「何?フッ...まあよい、リブラの血が途絶えた以上、
あの剣を使える者はいまい、後でゆっくりと探せばよい。」
...
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