古代アレフガルドにおける深刻な環境破壊について
ローレシア大学 環境学部1年 ヤンリュ・バコタ
大魔王ゾーマも滅び、かの勇者も人知れず旅立ってより数年。
ようやく人々は混乱から立ち直りました。しかし、新たな危険が迫
っていることに、多くの人々は気付いていません。しかもそれは、
ゾーマがアレフガルドに君臨していた時から密かに進行していた
ものなのです。…これは紛れも無く、ゾーマの呪いといっても過言
ではありません…
さて、アレフガルド制圧にあたりゾーマは何をしたでしょう?そう、
「アレフガルドを闇に閉ざし」たのです。このことが、一体どんなこと
を引き起こしてしまうのでしょうか?
① 暗い→常に明かりが必要→松明の大量生産→森林伐採
② 暗い=常に通常の季節より寒い→暖炉活躍→森林伐採
恐ろしいことに、二つの理由で森林破壊が進んでいたのです。
森林伐採により空気中の二酸化炭素が増え、温暖化につながる
のはずっとずっと先の事。この時点では温暖化の進行により②の
理由が消滅することはありません。
しかし勇者チェルトにより大魔王は倒れ、太陽が再び地上を照
らすようになりました。それと共に①②の理由は消えて無くなります。
だが、大魔王が倒れ、長年苦しめられてきた人々が行う、ある
ことが森林伐採をますます加速させることになります。
③ 復興事業
人々は破壊された城を、家を、橋を直すのに大量の樹木を切り
出しました。また、戦時中は次々と襲い来る魔物に対抗するため、
政府は積極的に生めよ育てよの政策を取っていた為、人口爆発に
より重要な資源である森林の破壊はますます加速し、そしてそれ
は段々目に見える形となって人々に襲い掛かります。
洪水、熱波、異常気象…これらがまさか森林伐採の故であるこ
とをまだ人々は知る由もありません。この時アレフガルドの未来は
とても危うかったのです。
だが、どうやらこれは杞憂だったようです。我々が知っているよ
うに、世界は後々まで続いたのですから…きっと、ある時学者が
そのことに気付き、彼らの政府や国民に対する地道な啓蒙活動
の結果、対策を講じて世界は救われたのでしょう。名前も知られ
ていない彼らの活動は勇者の働きに値する、立派なものであった
と言えるでしょう。私は、彼らに拍手を送りたいと思います。
(了)
「バコタ君。」
「はい、フレイユ教授。」
「君のレポートだがね、全体的に程度が低いが特に最後、ありゃ
何だね。」
「と、おっしゃいますと?」
「杞憂云々以降に関しても、きちんと調べて書きたまえ。いくら何
でも小学校の夏休みの宿題じゃないんだから。あれじゃ不可だ。
ちょっと調べればこの方面の学者の名前はいくらでも出てくるぞ。
…せめて植林活動を提起したガライ教授の名前くらいは出すべき
ではないかね?」
「じゃあ、付け足しておきます。」
「ばかもん!別の題目でレポートを出したまえ!…全く、年々学生
の質が落ちていくばかりで、嘆かわしい…。」
…いずこも同じだようで…
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